An Introduction to Formal Logic っていったいどんな本なの?
デート大学による『An Introduction to Formal Logic』のご紹介

Peter Smithの『An Introduction to Formal Logic』は、形式論理学の基礎から応用までを網羅した非常に充実した教科書です。この本は、形式的な推論の体系に関心のある学生や読者に向けて書かれており、直感的に理解しやすいように構成されています。形式論理は、論理学が数学や哲学、コンピュータサイエンスなどの分野でどのように機能するのかを理解するための基盤となる理論です。
この本の構成は、論理の基本的な概念から始まり、命題論理(PL)や述語論理(QL)といった形式的な体系に至るまで順を追って学べるようになっています。また、形式的な証明方法やメタ理論的な考察も含まれており、読者は論理的な推論の力を深く理解できるようになるでしょう。
以下、各章の内容を説明します。
1. What is deductive logic? (第1章: 演繹論理とは何か?)
この章では、演繹的論理(deductive logic)の基本的な概念が紹介されます。演繹論理とは、前提から結論を必然的に導き出す推論の方法です。この章では、演繹論理と帰納論理の違いや、演繹論理がどのように使われるかについても触れています。
2. Validity and soundness (第2章: 妥当性と健全性)
妥当性(validity)と健全性(soundness)の違いについて説明されます。妥当性は、前提が真であれば結論も必ず真となることを意味します。一方、健全性は、推論が妥当であるだけでなく、前提自体が真である場合に結論も真であることを意味します。この章では、これらの概念を具体的な例を使って詳しく解説しています。
3. Forms of inference (第3章: 推論の形態)
この章では、さまざまな推論の形態、例えば、演繹的推論、帰納的推論、そして直感的な推論方法について解説します。また、これらの推論がどのように形式化されるのか、そしてその適用方法についても考察します。
4. Proofs (第4章: 証明)
証明の基本的な構造と方法について学びます。形式論理では、命題がどのように証明されるか、そして証明の妥当性をどのように確認するかが重要なテーマです。この章では、推論規則や証明の手順について具体的に解説します。
5. The counterexample method (第5章: 反例法)
反例法は、論理的な命題や推論が無効であることを示すために使用される方法です。この章では、命題や論証が無効であることを証明するために反例をどのように活用するかについて説明します。
6. Logical validity (第6章: 論理的妥当性)
論理的妥当性についてさらに深く掘り下げ、命題の構造や推論が論理的に正当であるかどうかを評価する方法を紹介します。この章では、命題論理における有効な推論を示す具体例が多く取り上げられています。
7. Propositions and forms (第7章: 命題と形式)
命題(propositions)とその形式(forms)についての解説です。命題とは、真または偽であると判定できる文のことです。この章では、命題の形式化、命題の論理的な関係性について学びます。
Interlude: From informal to formal logic (間章: 非形式論理から形式論理へ)
この間章では、日常的な非形式的な論理推論と、それを形式論理に変換する方法について解説します。非形式論理から形式論理への橋渡しとして、自然言語における論理的な構造をどのように捉えるかに焦点を当てています。
8. Three connectives (第8章: 三つの結合子)
この章では、命題論理における基本的な論理結合子(connectives)について解説します。命題論理では、命題同士を結びつけるために「結合子」を使用します。ここでは主に次の三つの結合子が紹介されます:
- 否定(¬) - 「〜ではない」といった否定的な関係を表現します。
- 論理積(∧) - 「かつ」という関係を表します。例えば、「AかつB」という命題は、AとBの両方が真である場合に真となります。
- 論理和(∨) - 「または」という関係を表します。AまたはBが真であれば、その命題は真となります。
これらの結合子を使って複雑な命題を構築する方法を学び、結合子の使用における論理的な性質についても考察します。
9. PL syntax (第9章: PLの構文)
命題論理(PL)の構文規則について説明する章です。ここでは、命題論理の式がどのように構成されるか、そしてそれらの構成要素(命題変数、結合子、括弧など)の使い方を理解します。具体的には、命題論理における「文法」を学ぶことになります。
命題論理では、結合子を使って命題を組み合わせていくのですが、その際に適切な構文規則を守らなければなりません。構文規則を理解することは、後で命題の真理値を評価したり、証明を進めるために非常に重要です。
10. PL semantics (第10章: PLの意味論)
命題論理(PL)の意味論に関する章です。命題論理における命題が「真」または「偽」としてどのように評価されるのか、そしてそれをどのように解釈するかに焦点を当てています。命題論理の意味論では、命題の「真理値」を評価する方法を学びます。
ここでは、命題の真理値を評価する際に使用する真理値表(truth table)の作成方法や、複合命題の真理値をどのように計算するかが説明されます。具体的な命題を使って、結合子がどのように真理値に影響を与えるかを理解することができます。
11. ‘P’s, ‘Q’s, ‘α’s, ‘β’s – and form again (第11章: 「P」「Q」「α」「β」—そして再び形式)
この章では、命題論理における命題変数(P, Qなど)や論理的な記号(α, βなど)について掘り下げていきます。命題論理の証明や推論で使われるこれらの記号の意味を明確にし、命題の「形式」を再度確認します。
命題変数や記号を使用することで、命題の一般的な構造を捉えることができ、具体的な命題の内容に関わらず、その論理的性質を分析することが可能になります。この章では、形式的な記号を使って命題を表現する方法を学びます。
12. Truth functions (第12章: 真理関数)
命題論理における「真理関数」の概念について解説します。真理関数は、命題論理の命題や結合子に基づいて、真理値を計算するためのルールです。具体的には、結合子を使って命題の真理値を導く方法を学びます。
命題論理の各結合子(否定、論理積、論理和など)は真理関数として機能し、与えられた命題の真理値に基づいて新たな真理値を決定します。これらの関数を使いこなすことで、複雑な命題の真理値を効率的に評価できるようになります。
13. Expressive adequacy (第13章: 表現力の適切さ)
この章では、命題論理がどれほど表現力を持っているか、つまり、どのような論理的命題や推論を表現できるかに焦点を当てます。命題論理は、ある程度の論理的な関係を表現できますが、その範囲には限界があります。
具体的には、命題論理が「真」や「偽」などの二値的な命題しか扱えないため、複雑な意味論的な概念(例えば、部分的に真である命題など)は扱いにくいことが示されます。この限界を理解することで、命題論理の適用範囲やそれを超える形式論理(述語論理など)に対する関心が高まります。
14. Tautologies (第14章: 恒真命題)
恒真命題(tautology)は、どんな場合においても常に真である命題のことを指します。この章では、恒真命題の概念を詳細に説明し、どのような命題が恒真命題であるかを見分ける方法を学びます。
例えば、「A ∨ ¬A」という命題は常に真であるため、恒真命題といえます。命題論理では、恒真命題を用いて論理的な推論が正当であることを証明することがよくあります。この章では、恒真命題の識別方法やその重要性について詳しく解説します。
15. Tautological entailment (第15章: 恒真的含意)
恒真的含意(tautological entailment)は、ある命題が他の命題から論理的に導かれる場合に、その関係が恒真命題によって示されることを意味します。この章では、命題間の論理的含意を評価する方法を学び、推論がどのように恒真命題に基づいて成立するかを考察します。
具体的には、「A ⇒ B」という形の含意が、恒真命題である場合、それがどのように推論されるのかを理解します。この章では、命題間の論理的関係とその適用について深く掘り下げています。
16. More about tautological entailment (第16章: 恒真的含意のさらに詳しい考察)
第15章で紹介した恒真的含意をさらに深掘りし、具体的な証明や推論の手法について詳しく学びます。この章では、恒真命題を利用した推論規則の適用や、複雑な論理的関係がどのように導かれるかに焦点を当てています。
また、恒真的含意に基づく証明を進める際の注意点や、証明過程での戦略についても解説します。これによって、より高度な推論を行うための技術が身に付きます。
17. Explosion and absurdity (第17章: 爆発と不条理)
この章では、「爆発原理(explosion principle)」や「不条理(absurdity)」という概念を学びます。爆発原理は、矛盾した命題(例えば、「A ∧ ¬A」)が含まれる場合、その命題から任意の結論が導かれるという特性を指します。
論理学において、矛盾した命題があるときに、それがどのように無限の推論を引き起こすのか、そしてその結果がいかに論理的に問題を引き起こすかについて考察します。この章では、矛盾の取り扱い方やその論理的影響を理解することが重要です。
18. The truth-functional conditional (第18章: 真理関数的条件文)
この章では、命題論理における条件文(if-then 文)を真理関数として取り扱います。「A ⇒ B」という条件文は、真理値表に基づいてどう評価されるのか、その論理的な意味と解釈について詳しく学びます。
条件文は直感的には「もしAならばB」といった形で理解されますが、真理関数としては、Aが偽である場合に条件文が常に真となるという特性があります。この章では、この特性をどのように扱うか、またそれがどのように論理的推論に影響を与えるのかを解説します。
19. ‘If’s and ‘→’s (第19章: 「もし」と「→」)
「もしAならばB」という形の命題(if-then文)は、命題論理における条件文として重要な役割を果たします。この章では、自然言語で使われる「もし~ならば」という表現と、命題論理における「→」の関係について詳しく解説します。
ここでは、条件文を形式的に扱う方法、そしてその論理的意味をどう理解するかを学びます。特に、「→」の真理値表を使って、条件文の評価方法を理解することが大切です。
Interlude: Why natural deduction? (間章: なぜ自然演繹法か?)
自然演繹法(natural deduction)は、命題論理における証明手法の一つです。この間章では、自然演繹法がなぜ重要であり、どのように推論を進めるのに役立つかを説明します。自然演繹法は、推論規則を直感的に使用することで、命題論理の証明を構築していく方法です。
具体的には、推論規則(例えば、論理積の導入や論理和の選択など)を使いながら、複雑な命題をどのように証明するかを学びます。この方法を使うことで、形式的な証明をより理解しやすく、実践的に行えるようになります。
20. PL proofs: conjunction and negation (第20章: PLの証明—論理積と否定)
この章では、命題論理における論理積(∧)と否定(¬)を使った証明方法を学びます。特に、命題論理における証明は、推論規則を使って進めますが、論理積と否定はその中でもよく使われる基本的な操作です。
- 論理積(∧):命題「A ∧ B」の証明では、AとBの両方が真であることを示さなければなりません。証明を進めるためには、個別にAとBの真偽を確認する必要があります。
- 否定(¬):命題「¬A」の証明では、Aが偽であることを示します。例えば、Aが真であると仮定して矛盾を導き出す方法(背理法)を使うことが一般的です。
この章では、これらの推論規則を使って証明を進めるためのステップバイステップの手順を学びます。
21. PL proofs: disjunction (第21章: PLの証明—論理和)
論理和(∨)を使った証明方法について学ぶ章です。命題「A ∨ B」の証明は、AまたはBの少なくとも一方が真であることを示す必要があります。この章では、論理和を使った証明の方法、特に以下の2つのケースに分けて解説します:
- 左側の命題(A)の真を証明する。
- 右側の命題(B)の真を証明する。
また、論理和を使用した場合にどのように推論を進めるべきか、特に「選択的証明」(disjunction elimination)などの技術についても触れます。
22. PL proofs: conditionals (第22章: PLの証明—条件文)
条件文(if-then文)を使った証明方法について説明します。命題「A ⇒ B」の証明では、Aが真であると仮定した場合にBが必ず真であることを示さなければなりません。
ここでは、条件文の導入と条件文の選択的証明が紹介されます。具体的には、Aが真である場合にBが導かれるという形式的な手順を踏んで証明を行います。この章では、条件文の証明のための正しい戦略やテクニックが学べます。
23. PL proofs: theorems (第23章: PLの証明—定理)
定理の証明についての章です。この章では、命題論理における一般的な定理をどのように証明するかに焦点を当てています。定理とは、証明によって導かれる真理であり、通常はさまざまな証明手法を駆使して示されます。
具体的な証明手法としては、直接証明、背理法、反証などがあり、それらを使って論理的に証明を組み立てていきます。定理の証明における戦略や、それをどう効果的に進めるかについて詳しく学びます。
24. PL proofs: metatheory (第24章: PLの証明—メタ理論)
命題論理(PL)の証明をより深く理解するために、メタ理論的な視点を取り入れる章です。メタ理論とは、論理そのものを対象としてその特性や限界を考察する理論です。この章では、命題論理がどのようにして「完全」で「無矛盾」であるか、また証明体系がどのように整合性を保つのかについて考察します。
メタ理論では、証明の妥当性、決定可能性、完全性など、証明体系が満たすべき条件について議論します。また、命題論理がどのように「完備」であるのか、そしてどのようにして形式的な証明を進めるかについての理論的な基盤が固められます。
Interlude: Formalizing general propositions (間章: 一般命題の形式化)
この間章では、命題論理をさらに発展させ、一般命題(例えば、「すべての人は死ぬ」や「ある人は犬を飼っている」など)を形式的にどのように表現するかを学びます。この形式化によって、命題論理の枠を超えて、より一般的な論理を扱うための準備ができます。
命題論理はあくまで「特定の命題」が真であるか偽であるかを扱うものですが、この章ではその枠を広げて、述語論理(QL)の理解へと進みます。
25. Names and predicates (第25章: 名前と述語)
この章では、述語論理における基本的な要素である「名前(名前記号)」と「述語(predicate)」の使い方について解説します。命題論理では「命題」だけが扱われますが、述語論理では、個別の対象(名前)とそれらが持つ性質や関係(述語)を扱います。
- 名前(名前記号):個別の対象を指し示す記号です。例えば、「Socrates」や「John」などが名前です。
- 述語(predicate):対象が持つ属性や関係を示す記号です。例えば、「isHuman(x)」や「loves(x, y)」などのように、対象xやyに関する属性や関係を示します。
この章では、名前と述語の使い方を通じて、述語論理の基礎を理解します。
26. Quantifiers in ordinary language (第26章: 日常言語における量化子)
述語論理において非常に重要なのが「量化子(quantifier)」です。量化子は、命題がどのように対象に関して成立するかを表現する記号です。この章では、日常言語で使われる量化の概念を述語論理にどう変換するかについて学びます。
- 全称量化子(∀):「すべての〜」を意味します。例えば、「すべての人は死ぬ」という命題は、全称量化子を使って「∀x (Person(x) → Dies(x))」のように表現されます。
- 存在量化子(∃):「ある〜」を意味します。例えば、「ある人は犬を飼っている」という命題は、存在量化子を使って「∃x (Person(x) ∧ OwnsDog(x))」のように表現されます。
量化子を使うことで、特定の対象やその性質に関する命題をより一般的に表現できるようになります。
27. Quantifier-variable notation (第27章: 量化子-変数表記)
述語論理で量化子を使う際の表記法を学びます。この章では、変数と量化子がどのように組み合わさって命題を形成するかを詳しく解説します。特に、量化子と変数がどのように作用するのか、またそれがどのように命題の意味に影響を与えるのかを理解します。
- 変数は、述語の対象を示す記号です。たとえば、「Person(x)」では、「x」が対象となる個人を指します。
- 量化子は、この変数に対する範囲を定めます。全称量化子(∀)は「すべてのxについて」、存在量化子(∃)は「あるxについて」といった具合です。
この章では、量化子-変数表記法を使って、より複雑な命題をどのように形式化できるかを学びます。
28. QL languages (第28章: QL言語)
述語論理(QL)の言語について学びます。この章では、述語論理の式がどのように構成されるのか、その構造や記号体系について詳しく解説します。具体的には、命題論理に比べて述語論理はどのように複雑な関係や属性を表現できるのか、そしてその表現方法がどのように命題論理の枠組みを超えているのかが説明されます。
ここでは、述語論理の基礎的な記号(述語、変数、量化子)を使って、より一般的な命題をどのように記述するかを学びます。
29. Simple translations (第29章: 単純な翻訳)
この章では、日常言語から述語論理の形式へ、あるいはその逆の変換方法を学びます。具体的には、日常言語の命題をどのように述語論理の形式で表現するか、またその際の注意点について考察します。
例えば、「すべての人は死ぬ」という命題は、述語論理では「∀x (Person(x) → Dies(x))」と表現されます。このように、日常言語の命題を形式化することで、論理的な分析が可能になります。
また、日常言語の曖昧さを避けるために、述語論理における精密な表現方法を学びます。
30. More on translations (第30章: 翻訳のさらに詳しい解説)
前章で紹介した翻訳方法をさらに発展させ、より複雑な命題を述語論理にどのように翻訳するかを学びます。特に、量化子や述語の複雑な使い方が関わる場合、どのようにその意味を正確に表現するかが解説されます。
たとえば、条件文や論理積・論理和のような複合的な命題を、述語論理の中でどのように組み立てるかを学びます。
31. Informal quantifier rules (第31章: 非形式的な量化子規則)
この章では、述語論理における量化子(∀ と ∃)の非形式的な推論規則について解説します。ここでは、形式的な証明手続きに入る前に、量化子の意味や使用方法についてより直感的に理解することが目的です。
量化子に関する基本的な規則は以下のようになります:
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全称量化子(∀)の導入: ある命題が特定の対象に対して成立する場合、それがすべての対象に対して成立することを示すために全称量化子を使います。たとえば、「John is a teacher」という命題が「∀x (Teacher(x) → ∃y (Teacher(y)))」と変換されるような方法です。
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存在量化子(∃)の導入: ある対象が存在することを示すために存在量化子を使います。例えば、「Some students like soccer」から「∃x (Student(x) ∧ LikesSoccer(x))」に変換されます。
この章では、こうした量化子の推論規則を非形式的に理解することで、より直感的に証明を進める手助けとなります。
32. QL proofs (第32章: QLの証明)
述語論理の証明手法について深掘りしていく章です。命題論理の証明とは異なり、述語論理では量化子を使った証明が必要です。ここでは、全称量化子(∀)と存在量化子(∃)を使った推論規則に基づく証明方法を学びます。
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全称量化子の証明: 全称量化子(∀x)は「すべてのxについて」という意味を持つため、ある命題が全ての対象に対して成立することを示さなければなりません。例えば、「∀x (Human(x) → Mortal(x))」という命題の証明には、任意のxがHumanであれば、そのxがMortalであることを示す必要があります。
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存在量化子の証明: 存在量化子(∃x)は「少なくとも1つのxが存在する」という意味を持つため、そのxが持つ特定の属性を証明します。例えば、「∃x (Human(x) ∧ Mortal(x))」という命題では、あるx(例えば、Socrates)がHumanであり、かつMortalであることを示すことになります。
この章では、これらの量化子を含む証明をどのように進めるか、またそれらの証明に必要な規則を学びます。
33. More QL proofs (第33章: さらに詳しいQLの証明)
さらに進んだ述語論理の証明技法を学びます。この章では、述語論理における証明の高度な技術や、複雑な命題の証明をどのように進めるかについて詳しく掘り下げます。
具体的には、量化子の除去や組み合わせ技法を学び、複雑な述語論理命題をどのように証明するかを理解します。これにより、より抽象的で複雑な推論を扱うためのスキルが身に付きます。
34. Empty domains? (第34章: 空のドメイン?)
述語論理における空のドメイン(empty domains)について考察する章です。空のドメインとは、ある理論の中で対象が存在しない場合、つまり変数xが取ることのできる値が存在しない場合を指します。
- 例えば、「∀x (Human(x) → Mortal(x))」という命題が、空のドメインにおいてどう扱われるかという問題が取り上げられます。ここでは、空のドメインが存在する場合、全称命題がどのように真であるとみなされるのか(真理値が自動的に真となること)について学びます。
この章では、空のドメインが述語論理における推論に与える影響について理解を深めます。
35. Q-valuations (第35章: Q評価)
述語論理における評価(valuation)の概念を学ぶ章です。評価とは、変数に特定の対象を割り当て、それに基づいて命題がどのように真か偽かを決定する過程です。
ここでは、述語論理の命題に対する評価方法を学び、どのようにして命題が真であるか、または偽であるかを判定するかを理解します。特に、述語論理における評価は命題論理と異なり、対象が変数に割り当てられるという点が重要です。
36. Q-validity (第36章: Qの妥当性)
述語論理における**妥当性(validity)**の概念について学びます。妥当性とは、命題がどのような評価を与えられても常に真であることを意味します。述語論理では、命題が全ての可能な対象に対して真である場合に「妥当である」とみなされます。
この章では、述語論理における妥当性の検討方法や、それがどのように証明に関わるのかを理解します。
37. QL proofs: metatheory (第37章: QLの証明—メタ理論)
述語論理(QL)の証明に関するメタ理論を学びます。この章では、述語論理の証明体系が持つ特性や限界について考察します。特に、完全性や無矛盾性について触れ、述語論理がどのようにして理論的に完備であるかを理解します。
メタ理論では、述語論理の証明体系がどのように理論的に強固であるのか、またどのようにして証明が正当であることを確認できるのかを学びます。
Interlude: Extending QL (間章: QLの拡張)
この間章では、述語論理(QL)のさらなる拡張について説明します。述語論理は、基本的な述語や量化子に加え、他の構造や要素を追加することで、さらに強力な推論を行えるようになります。
具体的には、述語論理における新たな機能や拡張手法、たとえば関数や識別子(identity)などの追加について解説します。
38. Identity (第38章: 同一性)
述語論理における同一性(identity)という概念を学ぶ章です。同一性とは、ある対象が他の対象と等しい、つまり同一であるという関係を表すものです。この章では、「=」という記号を使って、どのように対象同士の関係を示すのか、またその推論ルールについて学びます。
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同一性の公理: 同一性にはいくつかの基本的な性質があり、これを同一性公理として理論的に扱います。例えば、ある対象xが自己と同一であるという自明な事実(Reflexivity)、もしxがyと同一で、yがzと同一であれば、xもzと同一であるという推論(Transitivity)、およびxがyと同一であればyもxと同一であるという性質(Symmetry)などです。
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同一性の使い方: 述語論理において、「x = y」といった同一性の命題は、対象が同じであることを示すため、証明において強力な道具となります。例えば、「Socratesは人間であり、Socratesは死ぬ」という命題を使って、何らかの推論を行う際に同一性が重要な役割を果たします。
この章では、同一性の公理やその利用法を詳しく学び、述語論理をさらに発展させます。
39. QL= languages (第39章: QL= 言語)
ここでは、述語論理における同一性の取り扱いに関する言語的な表現方法を学びます。述語論理における「=」という記号を使って、どのように同一性を命題に組み込むか、その形式的な表記法を理解します。
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同一性の記法: 述語論理の中で、「=」という記号は単に二つの対象が同一であることを示すために使われますが、その証明における特別なルールや技術について学ぶことができます。
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同一性を用いた推論: 同一性を使った推論では、例えば「a = b」であるならば、aとbが同じ対象であることを示すために他の述語や関係における推論を進めることが可能になります。このような推論手法に慣れることができ、複雑な命題でも同一性の公理をうまく活用する方法を学びます。
40. Definite descriptions (第40章: 定義された記述)
述語論理では、ある対象がどのように記述されるかを理解するために、定義された記述(definite descriptions)という概念を使います。定義された記述は、特定の対象を示すために、固有名詞のような具体的な名前を使う代わりに、属性に基づいてその対象を示します。
-
例えば、「最も偉大な哲学者」という表現は、定義された記述に基づいて、その特徴を持つ唯一の人物を指し示します。この場合、述語論理では「the greatest philosopher」などの表現を使い、対応する記号を定義することで、特定の対象を述語で記述します。
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定義された記述は、定義の明確化や、命題が何を意味するかの厳密な理解を深めるために重要です。この章では、定義された記述を述語論理にどう取り入れ、どのように扱うかを学びます。
41. QL= proofs (第41章: QL= 証明)
定義された記述や同一性の概念を述語論理の証明に組み込む方法を学ぶ章です。この章では、述語論理における証明の過程で、同一性や定義された記述がどのように作用するかを理解し、証明手法にどのように組み込むべきかを解説します。
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同一性を利用した証明: 「x = y」であるならば、xに関するすべての命題がyに関しても成り立つ、というルールを利用して証明を進めます。例えば、「Socrates = x」という定義があれば、「x is a human」や「x is mortal」などの命題も同様に「Socrates is a human」や「Socrates is mortal」として証明できます。
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定義された記述の証明: 定義された記述を使った証明では、特定の特徴を持つ対象が存在することを示すために、論理的にその存在を証明する過程が重要です。たとえば、「the greatest philosopher」についての証明を行う際、どのようにその定義を述語論理の中で表現し、証明に組み込むかを学びます。
42. Functions (第42章: 関数)
述語論理をさらに発展させるために、関数(functions)という概念を学びます。関数は、引数を与えることで一つの値を返す関係を表します。述語論理では、対象同士の関係だけでなく、対象に基づいて何らかの値を導き出す関数を取り扱います。
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関数の記法: 関数は通常、記号「f(x)」のように表現され、対象xに基づいて何らかの値を返すものと定義されます。たとえば、「f(x) = x + 1」といった関数では、xに1を加えた値を返します。
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関数を使った推論: 関数は、述語論理における推論の中で、対象を特定の方法で操作したり、変換したりするために利用されます。関数を使った論理的な推論を学ぶことで、より複雑な命題を扱うことができるようになります。
Appendix: Soundness and Completeness (付録: 整合性と完全性)
この付録では、述語論理の整合性(soundness)と完全性(completeness)に関する理論的な背景を学びます。これらは、論理システムの健全性を保証する非常に重要な概念です。
整合性(Soundness):
整合性とは、述語論理の証明が正しいことを保証する性質です。具体的には、もしある命題が述語論理で証明可能であれば、その命題は実際に真であることを意味します。言い換えれば、述語論理の証明システムが間違った結論に導くことがないという性質です。
- たとえば、「∀x (Human(x) → Mortal(x))」という命題が証明可能であれば、この命題が真であることは確実です。証明プロセス自体が間違った結論を導かないことを意味しています。
完全性(Completeness):
完全性は、述語論理の証明システムがすべての真である命題を証明できることを保証する性質です。つまり、もし命題が真であれば、必ずその命題の証明が存在することを意味します。
- 例えば、もし命題「∀x (Human(x) → Mortal(x))」が真であれば、その命題に対する証明は必ず存在します。述語論理は、すべての真命題に対して証明可能であることが完全性により保証されます。
整合性と完全性の関係:
整合性と完全性は、論理体系が正確かつ網羅的であることを保証するための2つの重要な概念です。これらを理解することで、述語論理が理論的に堅固であることを実感できます。
Further reading (さらなる読書)
最後に、述語論理をさらに深く学ぶためのリソースや参考文献が紹介されます。論理学は非常に深い学問であり、興味を持ち続けて学びを進めることで、さらに高度な概念や応用を習得することができます。
- 集合論やモデル理論、圏論など、述語論理の先に広がる領域についての参考文献が紹介されます。
- 特に、形式言語や計算理論、証明論といった分野に関連する本を読んでいくことで、述語論理をさらに拡張していくことができます。
まとめ
ここまで、Peter Smithの『An Introduction to Formal Logic』の内容について、各章を詳しく説明してきました。述語論理の基礎から応用まで、論理学の本質を理解するための道筋を辿り、証明技法や理論的な背景を深く学びました。
- 命題論理から始まり、述語論理、量化子、同一性、関数といった高度なトピックまで学びました。
- 最後には、述語論理の整合性と完全性、そして証明理論の重要性について触れ、述語論理が理論的にどのように成り立つかを理解しました。
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今日、新たな一歩を踏み出そう
「デート相手に不自由しない人生を送りたい。」
そう願いながらも、思うようにいかず、今の毎日を変えたいと感じている方も多いのではないでしょうか。
もし今、少しでも心に迷いや不安があるのなら、どうぞ一度ご相談ください。
「デートに結びつく学び」が、あなたの毎日をどう変えていくのか——
その第一歩を踏み出すきっかけになれたら、私たちは嬉しく思います。